本当のメイドインジャパンを目指して

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--彩鞄というブランドの成り立ちについて伺いたいのですが
彩鞄代表 有限会社鈴仙 鈴木 功 社長
昭和40年後半の話になるのですが、もともと草加には3つの皮革団体がありました。
当時は全国的にも皮革産業が活発な時期で、埼玉県の全産業の中でも
売上高でベスト10に入るような大きな地場産業だったのです。

しかし、昭和50年代中ごろ、不景気の時代が始まった頃、
若い衆が「このままではダメだ」という意識のもと、
3団体の若手が集まって各組合活動とは別に、
草加の皮革を何とかしたいとの思いで、
お互いの垣根を越えた協力体制が生まれました。
--その頃に作られたのが彩鞄ということですか?
いえ、最初はまず、ASOKAやASOBEという商品ブランドを立ち上げました。
--どんな活動をしていたのですか?
従来の革製品の枠に囚われない物づくりをしていまして、
有名なところでは、鞣し革で作ったカナディアンカヌーを作ったりしました。

今でも綾瀬川に時々浮かべて遊んでいます。 草加の皮革を代表する皮革製品です。
2002年になって、3団体に入らない草加地域の職人や、
革に関わる人を巻き込んで、そうか革職人会という団体を作ったのです。
--4団体目ですね、
はい、新しく作られたそうか革職人会では、今まで組合活動に参加していない人や、
自分一人だけで仕事をしていた方やら、色々な人が参加しています。
当然今までの3団体のメンバーも入っています。
発足してすでに15年経ちますが、現在 伊藤産業(株)の伊藤達雄さんが会長を務めています。
--そうか革職人会はどんな活動をしているのですか?
たとえば草加皮革大賞のようなコンテストを行ったり、
皮革に関わる事業をやっている各社が共通で使える看板を提案したりしました。
革マークの看板を会員に配り、会社の玄関 入口等に立てています。すでに市内に64本ほどは立っています。
--この看板は街中で見たことがあります
そうか革職人会の看板
草加市内でよく見るでしょう?
草加の地場産業が皮革であるということは、
まだあまり地元の人にも知られていなかったりするので、
一目で「ここに皮革に携わる会社があるんだ」とわかってもらえるようにしました。
--いわゆるPR事業ですね
そうですね、PR事業の一つです。
他にも、小学校でレザークラフトのイベントを開いてもらったり、
レザーフェスタという革のイベントを開催するなどして、
草加が革産業の町だということを、
まずは地元の人たちに認知してもらえるようにと活動を行っています。
現在では、草加市の小学校の社会科の授業の一貫で地場産業を紹介して頂く中に、
皮革の体験、クラフト教室を開いて頂いたりしています。
--PR活動の他には何を行っているのですか?
もちろんそれだけではありません、
そうか革職人会の特徴は、会員同士の交流も増え、
革を直接仕入れしたり、オリジナルの革を作って貰ったりして、
会員相互の協力体制も深まって来ています。
--各分野のスペシャリストが集まっているということですね。
そうですね、革産業の中でも1つの分野に特化しているような会社さんがほとんどです。
7年前に、そんなメンバーの中で、
お互いの力を少しづつ出し合って、新しい草加の皮革・・・
レザー タウン 草加プロジェクトチームが結成されました。
チーム名「彩鞄」というブランドになりました。

高い品質の製品を作ることはもちろん、
環境を大切にすることを考えてエコレザーを中心とした製品作りを行っています。
--彩鞄に至るまでには長い歴史があったのですね。  彩鞄というブランド名にはどんな由来があるのですか?
彩の国 埼玉から彩という文字を、
そして革製品ということで鞄という文字を合わせ、
彩鞄というブランド名に決まりました。

原材料の加工から、最終的に製品化するまでのすべての工程を
草加の中で完結することができます。
--原材料も草加なんですか?
原材料は県内の素材を使おうということで、
埼玉県の武州和牛さんに協力してもらっています。

国内の革製品の原材料は、海外からの輸入が大半を占めています。
そのため、原材料がどこから入っているかというのは一般の人にはわからないのです。

私たちはそうではなく、真のメイドインジャパンにもこだわろうということで、
埼玉の皮、武州和牛組合さんと協力してやっていくことにしました。

「彩鞄」の活動に共感を頂いて次第に試作品から製品への事業にもなって来ています。
たとえば獨協大学同窓会様では、地域の産業の支援を含め
「彩鞄」グッズを同窓会記念品として毎年注文を頂いています。
又、次第に7年間一貫した「彩鞄」活動が評価され、
テレビやラジオの取材や対談の機会も増えてきています。
--今後はどういった商品展開を行っていくのですか?
ノベルティ系やファッション関係のものばかりではなく、
インテリアに革を使うという商品提案も行っています。

手すりだとか、スイッチカバー、コンセントカバー 壁材 床材などですね。

また、牛や豚はもちろん、爬虫類やダチョウ、オットセイやカバ、象など、
15種類もの素材を市内で調達することができ、
それを使った商品開発ができるのも彩鞄の特徴です。
--15種類!すごい量ですね。
たとえば同一のデザインの製品でも、皮別に商品展開することも可能です。

まだまだ種類が多いというだけではありませんが、
1デザイン 素材別商品が作れるのは草加の特徴でしょう

技術的、品質的にも、全国的に見て高いレベルだと自負しています。
--活動の目標のようなものはあるのですか?
全国的に、世界的に、草加が革の町だということを認知してもらいたいと思います。

まずはオリンピックに向け、観光客に来てもらえるように、
海外でいうと欧州のフィレンツェのような街づくりをしていければと思います。
草加は浅草からも30分、秋葉原からも30分という立地なので、
海外からのお客さんにとっても気軽に遊びにきやすいのではないかなと思います。

皮革産業というのは、1つ1つの企業規模がとても小さい業界です。
国内の1企業がどう頑張ったところで、
革製品業界の60%を占める海外の有名ブランドに立ち向かえるはずがありません。
だからこそ、国内の革産業の各分野における、
一流の職人たちが手を組む必要があるのです。

革製品作りという点においては、これだけ環境の整った町は他にありません。
次世代を担う、皮職人を目指す若者たちに草加を知ってもらい、
草加で国内の革産業を盛り上げていけたらと思います。