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--ファーサワデさんはいつごろ創業されたのですか?
もともと初代社長が伊藤産業さんのところで働いていまして、
自分で開業したのは昭和33年のことでした。
--社長は二代目なんですね
父側の実家は北海道にあるのですが、
親戚は皆、毛皮関係の仕事をしています。

ミンクの養殖などもしていましたね。
当時はイタチの毛皮の需要が凄かったので、
銀座にある毛皮店さんのお誘いもあって東墨田に100坪の工場を作りました。
--いつごろまで東墨田でやられていたのですか?
東京から越谷に来たのが昭和38年で、
東墨田にいたのは5年間です。

この5年間で私が生まれました、
ちょうど皮革技術センターの近所でしたね。

今の綾瀬川は少し綺麗な川になりましたが、
その頃は工業排水が垂れ流しだったので
凄く汚れた川だったんです。

今では地域全体の団結もあって綺麗な川になりました。
--毛皮の仕事はずっとやっていたんですか?
最近は皮革のほうがメインですね。
世間の需要が変わってきたので、
だんだんと皮革のほうにシフトしていきました。

彩鞄のエコレザーもそうですが、最近は環境問題も注目されていますし、
環境に配慮した薬品を使うよう心がけています。

なめしは白なめしです。
染色はこちらでは行わず、
クライアントに判断して頂く形ですね。

白なめしも色々手法があるのですが、
時間がたつと黄ばんでくるものもあるので、
そのあたりの品質には気を使っています。
--いつごろから二代目を継いだのですか?
まず始めに父の会社ではなく、他社で毛皮の勉強をしたいと思いました。
その次に父が「ドイツの毛皮屋で働いてみないか?」と言ってきました。
ドイツの毛皮屋で3年間働きました。
--ドイツ語の勉強無しに!
ドイツ語学校に行っていたわけではないので、
仕事が終わってからドイツ語を勉強していました。

周りにいるドイツ人は訛りが強くて大変でしたね。
--その3年間を経て、働き出したのでしょうか?
その前に裁断の学校に通いました。
その頃は毛皮の縫製をやっていた時期でした。

恵比寿に立体裁断を教えている学校がありまして、
そこに半年ぐらい通っていました。
図面や型紙を作る知識のための学校ですね、
今はまあコンピューターでやってしまうのですが。
--サワデさんの親族も毛皮関係だそうですが、
 そちらのほうも今は続いていらっしゃるんでしょうか?
北海道の親族は、まだ大沼公園のほうで毛皮屋をやっています。

部分的に革を使ったり、
ちょっとした小物を作ったり、
他と差別化して商品展開をしていますね。

時代がどんどん変わっていくので、
今のままではダメなんです。

そこで、イタリアに見習いたい「世界で一位のものを」1つだけ。
今後、日本の皮革産業は、中国や東南アジアなどの途上国・新興国で作っている値段の安い普及品で競わないで、値段が高くても世界中から買ってくれる高品質でハイエンド商品を作ることで、生き残ることだと思います。
但し語るのは易しいですが、「世界で一位のもの」を創造するのは、ひじょうに難しいです。
でも挑戦する価値は有ると思います。
もはや「地方創生」と掲げる国には頼ってられないのです。
--今後の事業展開について教えていただけますか?
最近は同業の仲間と協力して仕事をしているのですが、
自分なりに試行錯誤して、商品研究も同時に進めています。

--どんな商品を作る予定なんでしょうか?
商品について、詳しいことはまだ発表できないのですが、
市場が求めているものを作るだけではなく、
自分が欲しいものを作り、
それを市場に提案し、受け入れてもらえるような
提案型の商品作りを考えています。

有限会社ファーサワデ 沢出浩明

天然の皮革は人工のものに変えられない良さがあります。
創業は昭和33年。毛皮と皮革両方の鞣しができるタンナーです。 皮革では主にカンガルー・ラム・ヤギ等を製造しています。さらにソフトで軽い革を製造するため研究を重ねています。

所在地
越谷市新川町1-63-1
電話番号
048-987-9231