- --太閤染革さんは何をしている会社さんですか?
-
爬虫類専門のなめし工場です。
爬虫類専門でやっているなめし工場は日本に6社しかなく、
埼玉には1社のみ、他はすべて東京にあります。
扱っているのは主にワニ・ヘビ・トカゲですね。
爬虫類ではありませんが、最近はオーストリッチなども取り扱っています。
- --いつごろ開業されたのですか?
-
父の代から数えると50年前になります。
前身の会社 ㈱太閤では、爬虫類なめしに加えて製品製造部もあり、
平成16年になめし事業が独立する形で㈱太閤染革としてスタートしました。
- --太閤さんには2社あるんですね。
-
いえ、今は3社あります。
原皮の輸出入を行う太閤コミュニティー
なめしを行う太閤染革
革製品の製造を行うタイコウがあります。
- --原皮の輸出入から小売まで、全てのフローが揃っているんですね
-
原皮輸入から、なめし、製品製造から販売まで
一気通貫で行ったのはウチが最初なんです。
そのおかげで、なめしという工程の会社ながらも
実際に製品を使うお客様の声を、すぐに品質に反映させることができます。
このあたりも一気通貫の強みかなと思います。
- --爬虫類革のなめしは、牛や豚と比べて勝手が違うんでしょうか?
-
たとえば牛や豚は、ドラムで少量の水の中をグルグル回転させ、
革をたたいて浸透圧によって薬剤を革の中に入れるなめしかたですが、
陸上の生物は普段肌が外気に触れていて肌が強いためその衝撃に耐えられます。
ですが、爬虫類はそうはいきません。
- --ワニの皮は強いイメージがありますが・・・
-
爬虫類の表皮は普段外気に触れてなく、丈夫なウロコに覆われています。
皮革にする際には、そのウロコを取り除くと出てくる
銀面(表皮)をなめすことになります。
ヘビって脱皮するでしょう?
ちょうどあの脱皮したうろこを剥がすようなイメージです。
そうすると出てくる銀面は、牛や豚と比べると
普段外気に触れていない部分ですから非常にデリケートで、
薬剤を浸透させるために強い衝撃を与えると
擦れが出てしまったり、破れてしまったりするので、水量を増やしてなめします。
そのため、牛豚が皮を叩いてなめす方式だとしたら、
爬虫類は皮を泳がせてなめす方式になります。
皮をたたけない分、薬品がなかなか中に入っていきませんので、
じっくり時間をかけながらなめしていきます。
- --ワニの皮がそこまでデリケートだとは思いませんでした
-
もちろん、なめしたあとは製品化に耐えうる強度を持たせることが出来ます。
ですが、牛や豚が平面の革なのに対し、
ワニの皮はボコボコした表面を持ちます。
ですので、プレスマシンなどで艶を出すことができないので、
艶を出すためにはグリージング(摩擦)を使う必要があります。
牛や豚は型押しなどで模様をあとから付けることができますが、
素材自体がすでに完成されたデザインになるので、
それを壊さないように製品化を行う必要があるんです。
そうすることで、世界にひとつしかない爬虫類革が作られるんです。
- --同じ種類のヘビでもいろいろな模様があるんですか?
-
同じ種類であれば近い模様を持つのですが、
似ていながらも個体差はあります。
同じ種類の製品でも少しづつ模様が違うので、
そこも含めて気に入った模様を選ぶのも楽しみのひとつですね。
- --他にワニ革で難しいことはありますか?
-
これはバッグなどに製品化する際の話になるのですが、
バッグを作るときはまず型紙を起こし、
その型紙に合うサイズの爬虫類革を用意します。
- --小さいと面積が足りなくなってしまいますしね。
-
いえ、それだけではないんです。
牛や豚であれば、大きければ大きいほど自由度が効く場合が多いのですが、
ワニ革の場合はカットする場所によって素材の持つ模様が決まってしまうんです。
ですので、大きい皮を使えばいいというわけではなく、
製造するバッグなどのサイズに合った革でなければ使うことが出来ないのです。
- --ワニ革の希少性の高さの理由がわかった気がします。
-
とはいえ希少性だけでは特性を出すことはできませんので、
色々なニーズに合わせて製品開発をしています。
旧来のような、風合いを生かした仕上げの需要もありますが、
アンティーク風の仕上げにしたり、
風合いを生かしつつも経年変化しにくい仕上げにしたりと、
さまざまなニーズにも答えています。
私は今年で44になります、社長になったのは30の頃ですね。
この若い感性も武器にして、一気通貫の強みを生かし、
これからもお客様の声を
製品開発に生かしていきたいと思います。
- --太閤染革さんの、今後の目標などはありますか?
-
目標としているのは栃木レザーさんでしょうか?
栃木レザーさんは、タンナーとしては日本で唯一ブランド化に成功しています。
バッグなどの小物製造ならわかるのですが、タンナーがブランド化!?って。
本来タンナーは表に出てこないものですが、
皮革産業全体で考えたら、それはとても大切なことと考えています。
最終目標は、素材で魅せられるような革作りをしていき、
革の裏にウチのマークを押して販売することですね。
日本に6社しかないワニ革、ヘビ革、トカゲ革など爬虫類専門のタンナーです。
海外の有名ブランドも当社で鞣した革を使用しています。
グループ会社の「株式会社太閤」では、当社で鞣した革を使用した製品製造及びブランド展開をしており、
多方面で高評価を得ています。
ジャパンレザーアワード2014では、グランプリを受賞しました。
- 所在地
- 埼玉県草加市青柳1-4-19
- 電話番号
- 048-933-9951
- URL
- LEATHER JEWELS/レザージュエルズ By Crystal Reptiles [タイコウ]